2006年 08月 17日
夏休み特別企画 『ダッシュ!四駆郎』 ホライゾン・メッセージ [03]
去る2006年3月23日、死去された
漫画家の徳田ザウルス先生を偲んで、
特別企画として代表作「ダッシュ!四駆郎」を
ご紹介しております。
夏休み特別企画と称していますが、
私の夏休みがこれで終わりそうな勢いです。
頑張ります。
今回は、地区予選準々決勝の決着から、
決勝戦前夜まで。
あの名作「ホライゾン伝説」も収録です!
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物語は中盤の山場へと突入します。
ライバルの登場、そして、全ての原点となる
あのマシンがいよいよ登場です。
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地区予選準々決勝、第三レース「竜巻の谷」。
U2の戦車マシンは、姫のマシンを守るための
風除けだった。
全員で一丸となってゴールを目指すダッシュ軍団と、
四台のマシンを礎に、一台のマシンのみゴールを
目指すU2。
一進一退を続ける両チームは、しかし
ゴール手前で立ち往生してしまう。
何故ならゴールへの道筋が発見できないからだった。
ってすごいレースだなそれ!
立ち往生する両チームの前に、
突如として乱入する一つの影。
チーム"U"、鬼堂院 陣(きどういん じん)。
なんと、U2はチームUの補欠チームだった。
陣の妹でもある姫がレギュラーを降りて、
補欠メンバーのためにU2を結成したのだ。
そして、"後輩"が意味する過去。
皇 「き、鬼堂院 陣!気づかなかった、
やつも、この大会に参加していたのか!!」
輪子 「わたしたちダッシュ軍団以前に
お兄ちゃんが集めたチームのキャプテン…。
(鬼が…帰ってきた!)」
鬼堂院は、かつて皇が作った
ミニ四駆チームのキャプテンだった。
そして彼の手に握られていたマシン。
皇 「まだ生きていたのか!
エンペラー以前のエンペラー…。
"原始皇帝<プロト・エンペラー>"!!」
メンバー 「な、なぜ、同じ物を二台も…?」
皇 「エンペラーがおそらく今のわたしの
限界だからだろう。
見果てぬ夢を追ったのだよ。」
見果てぬ夢―――。
全てのダッシュマシンは、あるマシンを夢見て
造られたマシンだった。
夢見て、そして追いつけなかった、
全てのマシンのルーツ。
それこそが、ダッシュ0号"地平<ホライゾン>"。
四駆郎の父、源駆郎(げんくろう)が造ったマシンだった。
鬼堂院のヒントにより、ゴールへの道を
見つけ出す両チーム。
それは丘の上のロザリオ。十字架のジャンプ台。
同時に十字架へ突入する両チーム。
一台分の道幅を、二台同時に片輪走行して通り抜け
同時ジャンプで川を飛び越える。
しかし…。
片輪での着地にシャフトが耐えられなかった。
ゴール手前でマシンがストップし、両チームとも
リタイヤとなってしまった。
だが、観客の声援により、再試合が決定。
進駆郎の作戦により、ダッシュ軍団は勝利を収めるのだった。
そして舞台は準決勝へと移る。
相手はファイティング・ファーマーズ。
相手は弱そう。
そして、四駆郎は決勝の相手である
鬼堂院に心を奪われている。
とか言えば大体展開は想像できるかと。(笑)
見事勝利を収め、遂に舞台は決勝戦、
チームUとの対決へ。
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決勝戦に備え、合宿に入るダッシュ軍団。
しかし、四駆郎はメンバーと別行動をとり、
チームUの合宿所へ乗り込むのだった。
そこで、決勝を前にして、
図らずも鬼堂院と対戦することとなった。
しかしゴール直前、カーボンシャーシに
落雷し―――。
エンペラーはその原型を留めないほどに、
無残な姿となってしまったのである。
意気消沈のまま、
チームU合宿所を後にする四駆郎。
ダッシュ軍団の合宿に合流するも、
皇より激しい叱咤を受けてしまう。
皇は、来るべき決勝戦のために
ニューマシン・ダッシュ01を準備していた。
合宿はこれをもつエースドライバーを
決めるためでもあったのだ。
皇 「帰れ!!団体行動を乱し、
大切なマシンをだめにするようなやつに
用はない!!」
四駆郎 「いちばん速いやつが
エースドライバーなら…見せてやる!!
皇さん!そのニューマシンで
おいらと勝負しろ!!」
壊れたエンペラーで、ニューマシンに挑む
四駆郎だった。
父と子、そして皇。全てのルーツ、ホライゾンと
新たなる道を切り開くニューマシンの継承。
それらを一つの物語として見事にまとめあげたのが、
コミックス5巻収録の、この「ホライゾン伝説」です。
100ページのボリュームで、コロコロ本誌ではなく
別冊コロコロコミックスペシャルにて描かれた、
物語上でも屈指の名エピソードです。
(この頃って児童マンガにも戦争の話が
普通に出てたんだよね…。)
ニューマシンとエンペラーの対決を
明日に控えた合宿の夜、
ダッシュ軍団は地滑りで出来た穴に
落下してしまう。
そこには、戦時中の遺物。
建造途中の日本軍の戦艦が眠っていた。
皇は思い出す。
それは、第二次世界大戦。ドイツの独裁者
ヒットラーは、自動車に関心を持ち―――、
ベルリンオリンピックにて自動車レースを
公式種目に加えた。
しかし、このレースは軍事色が濃く、
公式に記録されることは無かった。
コースやチェックポイント、一切の記録は
ヒットラーの死とドイツの敗北と共に
闇のベールに包まれた。
しかしこの第二次世界大戦の遺物は、
その存在を知るわずかな者の手によって
未だに世界のどこかで続けられているという。
自然が作った秘密の海底トンネルにより、
全世界を股にかける史上最大のレース。
その過酷さゆえに未だ生きて
戻ったものはいないという…
その名を"地獄ラリー"!!
四駆郎の父、源駆郎は
今もその地獄ラリーを走っているのだ。
そして、皇もかつては
源駆郎のナビゲーターとして…。
在りし日の皇と源駆郎。
彼らは地獄ラリーの途中、車を破壊され
強制労働所に入れられてしまう。
(皇の顔の傷もこの時に出来たもの。)
何とか脱出を図るも、ひょんなことから
レースを申し込まれてしまう。
その時に源駆郎が取り出したマシンこそ、
ダッシュ0号"地平<ホライゾン>"。
ホライゾンは通常のミニ四駆とは異なり、
レーザーによるコントロールにより
パワー調整が出来る"LCカー"だった。
そのスピードと安定性に、当時の皇は
魅せられたのだ。
源駆郎の力により、彼らは労働所を脱出、
再び地獄ラリーへと戻っていくのだった。
舞台は変わり、再び現代―――。
今度は地下からの脱出である。
四駆郎 「勝負はこの戦艦の甲板から、
先に地上へ出たものの勝ち!
どうだ!?」
ボロボロのエンペラーで、勝負を申し込む
四駆郎。そして、皇はその勝負を受ける。
輪子 (これは…、四駆郎くんの作戦だわ!
サーキットにくらべてラフな場所のほうが
マシンの性能差は出にくい。
お兄ちゃんも分かってるハズなのに…。)
スタートこそ離されたものの、自らの
体をはった策でジリジリと追いつく四駆郎。
しかし、レース途中で落盤が起きてしまい、
ダッシュ軍団は生き埋めになってしまう。
脱出口を探すうち、皇は、
メンバーがいつの間にか四駆郎を
頼っていることに気付く。
皇 (これがあいつの力なのかな…。)
軍事施設の火薬庫を爆破し、
遂に地下から命からがら
脱出することに成功する。
そして―――。
四駆郎 「皇さん、まだ勝負は終わっちゃいないぜ!」
爆炎の中より現れるエンペラー。
そう、レースは続いていたのだ。
途中からニューマシンを手に持った
皇は失格扱いとなり、
四駆郎は見事勝利を、そして
ニューマシンを手にしたのだった。
皇 「四駆郎のもとに、ダッシュ軍団は
また一つ強くなった。
フフフ。源さん、いつかあんたに会えたら
話してあげるよ。」
ホライゾンをめざした男たちの
夢の物語、
―――エンペラー伝説を。